第4回は造形監督の片塰満則さん、色彩設計の野地弘納さんが登場です。
本作におけるお仕事を教えてください。
片塰:
造形監督という肩書きで、デザインの開発、そしてポスター等の版権イラストの制作を担当しました。デザインの開発は、 まず瀬下監督のアイデアやスケッチがあり、それをデザイン画として、構造から細部まで、具体化していきます。複数のデザイナーと共に、ゴジラやセルヴァムといった怪獣、揚陸艇やパワードスーツといった、メカニック、コスチューム、それからディスプレイ画面に表示される、文字やマークといったグラフィック要素等のデザインのディレクションを担当しました。
また、ポスターやフライヤーに用いられる、イラストの制作においては、宣伝プロデューサーの方とアイデアを出し合い、それをCGアニメーター、ライティングアーティスト、美術監督と共に具現化し、最後に私が仕上げの合成を行う、という手順で作り上げていきました。
野地:
色彩設計といって、キャラクターに色を付けたり、各シーンの背景に合わせて色変えなどの作業をしています。
担当から見た今回注力しているところを教えてください。
片塰:
SF作品としてデザインに説得力をもたせたい、と考えました。具体的には、3DCGをデザインのツールとして用いて、空間や物体のサイズを、人体モデルと照らし合わせながら、割り出しました。
また見た目のカッコよさだけではなく、構造や機能に基づいて造形し、装飾的な要素を極力減らしています。そのことで、より作品の一つのテーマである、極限状態で生き延びた人類の戦い、にふさわしいデザインになれば、と考えました。
野地:
ゴジラですね、今迄のゴジラより色を少し変えています。後、目が、かなり複雑になっていて色も複雑に入れたので見てほしいです。
キャラクター(人)も惑星によって色の雰囲気を変えてます、そこにも注目してほしいです。
ゴジラへの思いを教えてください。
片塰:
瀬下監督のコンセプトである「植物」の要素を取り入れたゴジラをどういった造形に落とし込むのか、かなり悩みました。同時に凶暴さではなく、むしろ神聖さを感じさせて欲しい、という要望にも苦しめられました。
架空の生物であるゴジラを、現代に通用する説得力のある造形で表現したい、と考えた末にたどり着いたのは、「金剛力士像」でした。西洋の解剖学に基づいた筋肉とは異なる、まさに「日本的」としか言いようの無い造形をもちいることで、これまでのゴジラにはない、個性が表現できれば、と考えてとりくみました。
野地:
まさか、自分が生まれる前から愛されている作品に携わる事ができるとは思ってもいなかったので、ファンの方に受け入れて頂けるかどうかプレッシャーもかなりありますが、ゴジラの色を自分が作成させて頂いて嬉しかったです。
担当からみた見どころを教えてください。
片塰:
巨大なゴジラとの戦闘シーンは、まさに3DCGのメリットである、空間を生かしたアニメーションになっています。また、古びたボロボロの移民船での生活と、2万年後の地球の風景の対比も、まさにSF的な映像になっていると思います。
野地:
全部と言いたい所ですがゴジラが出現する所ですね、圧倒的強さに魅了されると思います。
ファンに向けて一言お願いします。
片塰:
特撮が好きな方にも、そしてアニメファンの皆さんにも楽しんでもらえるような、新しい要素を盛り込んだデザインになっていると思いますが、まず何よりもストーリーの面白さを味わっていただければ、と思います。
野地:
今迄に無い、ゴジラのストーリーになっていると思いますので、ゴジラを観た事がある人も無い人も両方楽しめると思います。